FEATURE

丈に宿る大人の色気
Update：2019.12.27

「神は細部に宿る」

どの分野においても一度は聞いたことがあるであろうこの言葉。
物事を成し遂げるには大きくものを見て小さなことをおろそかにしてはならないという格言。

ファッションに関してもそれは変わらない。
袖丈、ゴージの高さ、ラペルの返り、ウエストの絞り・・・・などなど、終わることの無いエレガンスの追求。
気を抜いてしまいがちなところにこそ神が宿り、本来の「美しさ」が感じられるはずである。

この時期になると欲しくなるのが“アウター”というのはこれまで弊社のSTYLE、FEATUREにてご紹介してきた通り。
別のアイテムを今回は特集すると思いきや、恥ずかしながら変わらずにアウターなわけなのだが、これまでになかった観点でメンズアウターを見直してみたい。

今回の観点は「丈」。
スポーティアイテムの隆盛もあり、ショートダウンや高機能なファブリックを用いたアクティブなアウターが巷を賑わしている昨今。
他に差をつける圧倒的なエレガンスを印象付けるならばやはり「ロング丈」のアイテムは外せない。
たっぷりとした生地に精緻なテーラリング。ショート丈のアイテムと異なり風を纏い動く様はロング丈ならでは。

初めに紹介したいのが「TAGLIATORE」のポロコート。
当店でも数シーズンにわたり取り扱いを続けているこちらのモデル。その人気の訳は“素材”と高い“テーラリング技術”にある。
使用しているのは最高峰のカシミヤ。滑らかな手触りと一目見ただけで伝わる圧倒的な艶感。
カシミヤ本来の保温性も感じられ、首元に一枚巻くだけで都市部ならば真冬でも闘える一着。
そこに載せるのがTAGLIATOREらしいグラマラスなシルエット。

アームホールに届かんばかりに広げられたラペル幅、対照的に絞り込まれたウエスト。
背に沿ってS字を描くように作り込まれたバックスタイル。
様々なシーンに対応できるブラックはノッチド、パーティやディナーなどのシーンで映えるキャメルはピークドにラペルを替えオーダー。→キャメルはこちら
伝統に基づいたクラシカルな作りにモダンなデザイン、シルエットを組み合わせた一着は大人にこそ着こなしてほしい。

次にご紹介するのが「TITO ALLEGRETTO」の同じくポロコート。
始めたのは昨年の秋冬と当店のドレスアイテムの中では新顔のこちらですが、恐ろしいまでの求心力を持っています。
ジャケットやスーツに続き、今秋冬は満を持してコートをオーダー。

ユニークな織りの風合いもさることながら、その魅力は何といっても「ナポリ仕立て」であろう。
バルカポケットにいせ込まれふんわりとした肩回りに仕上がっているマニカ＝カミーチャ、肩周りは身体に吸い付くようでありながら、ボタンホールに向かって美しくロールするラペル。
さながらス・ミズーラのようですが、デザイナー自らの足で探し出したこの風合いを出せるファクトリーでマシンも使いながら生産することでこのプライスを実現。
ISAIA、Cesare Attoliniといったナポリの名ブランドから、アメリカントラッドの代表RALPH LAURENまで幅広くVMDを務めたTITO氏だからこそできるバランス感の一着。
伊達男を目指すならこの一着は外せない。