スニーカーのブームに始まり、ここ数年で一気に加速した「リラックススタイル」の提案。
パンツのシルエットはワイド寄りになり、素材感も伸縮性が高く“楽”なアイテム選びをする方が増えてきました。
その過程で生まれ、今では市民権を得たのが
「ラグジュアリースポーティ」略して「ラグスポ」スタイル
単純なスポーティでは小僧感が出たり、若作り感が出たりしてしまう・・・大人が着るならそこには「ラグジュアリー」というエッセンスが必要不可欠。
素材感・カラーリング・シルエットなど様々な要素でラグジュアリーを演出したいところ。
そんな大人が必要とするすべての要素を高いレベルで兼ね備えているのが今回FEATUREにてご紹介する
「STONE ISLAND」
ボローニャの知識人でアートディレクター、そして並外れた才能の持ち主であるMassimo Osti。
1982年、彼によってモデナ郊外のラヴァリーノに設立されたインフォーマルウェアブランドStone Islandを定義する代名詞は研究、実験、機能性へのこだわりです。
繊維やテキスタイル関連の最高峰の研究の象徴となることを目指し、革新的なデザインを取り入れて、スポーツウェアの共通感覚を新たに定義したブランドとして認識されています。
Stone Islandはすぐさまカルト的な存在となり、現在でも若者世代をはじめとして幅広い世代の現代的な基準であり続けています。
Stone Islandの強みは、スポーツウェア・カンパニーのカラーラボラトリーで継続的に行われている染色や加工の実験を通して実用化された縫製後に手を加える独特の仕上げ方式にあります。
最先端のテクノロジー、経験、人間の能力を結集させることのできる部門で、これまでに60,000以上の異なる染色配合を生み出してきました。
生み出されるアイテム達は2017年の初入荷以来、当店でも以前からのSTONE ISLANDのファンをはじめとして、多くの新たなファンからも大好評を得ています。
特徴的なのが“染色”“シルエット”“素材”の3要素。この3要素にフォーカスしながら2019秋冬の新作をご紹介します。
まず「染色」。STONE ISLANDといえばガーメントダイ(製品染め)が特徴的。
もちろん他でやらないというわけではないですが、他ブランドとは一線を画すその風合いが多くの方を魅了しています。
画像のモデルはガーメントダイのダウンブルゾン。ダウンといえば通常のモデルでもクリーニングに気を遣うほど水に通すという行為に対してデリケートにならざるを得ない存在。
STONE ISLANDは染めに耐えうる高品質なダウンを使用し、高い保温性とダウンならではのボリューム感のあるシルエットを実現しています。
生地には耐水、防風の為の樹脂加工を施し、そこに対して不均等に染色液を浸透させていくことでマーブル模様のような独特な質感に仕上げています。
合わせて樹脂加工+ガーメントダイによる影響かこれもまた他にはない細かくシワの入ったクシュっとした生地感もまた独特。
ブラック、グレー、ホワイトと単に言い切れない独特な風合いも持たせたアイテム達はやはり大人にこそ着こなしてほしい。
一筋縄ではいかない加工。その加工は同じく一筋縄ではいかない大人の男性とリンクするのでは。
次に「シルエット」。スポーティといえばジョガーパンツやパーカーといったアイテムが頭に浮かぶ方も多いはず。
ただそのバランス感というのもまた難しく、緩すぎると部屋着のようで、細すぎるとお洒落というよりも本気のスポーツウェア感が先行してしまいます。
STONE ISLANDのシルエットはお洒落とスポーティのバランスが絶妙。
パンツは着用時の堅苦しさ、ストレスを軽減してくれる程よい緩さと足首にかけてのテーパードシルエット。股下にマチをつけることでより着る方の動きにしっかりとついてくる作りになっています。
一方でトップスは極端な絞りはつけていないもののオーバーサイズでもなく、緩いとも違う“余裕”のあるシルエット。
トレンド感のあるシルエットを楽しみつつも、そこにはまりすぎずおいしくいただいている感が出せるというのは大人にとって大事なポイント。
“余裕”というのがラグジュアリーな大人を演出してくれるはずです。
最後が「素材」。先にご紹介したガーメントダイのアイテムとともに定番として人気なのが「ナイロンメタル」素材。
ナイロン糸の特殊な三裂構造と、織り目にグレーの色を付け、染色過程で着色するよう白く残されたチェーンにより、玉虫色のメタリックな見た目に仕上げています。
さらに今季はリップストップ構造に仕上げることで生地自体の頑丈さを向上させると同時に通常のナイロンメタル地と異なる生地の表情が生まれます。
こちらはさらにガーメントダイも施していますので、素材・染色の2つの要素が詰まった大人が着るべきラグジュアリーな一着となっています。
ナイロンメタルに限らず研究に研究を重ねて生み出されるSTONE ISLANDのアイテムは他にも。
ジャカード編みの技法を用いた、ナイロン/ナイロンシェニール製のクルーネックニット。
もはやどんな糸を使用し編み上げられればこうなるのか理解が難しいというのが本音なほど常人の域を超えた作りの一枚。
強い探求心の上に生み出されたこちらのモデルは高級絨毯のような独特な質感で思わず触れたくなること間違いなし。
上記のニットのようなある意味ではこちら側を置き去りにしかねないアイテムもある中、多くの熱狂的ともいえるファンを持ち、30年以上にわたりトップランナーであり続けるSTONE ISLAND。それを支えているのは常に新しいことにチャレンジする気持ちとそれを探し続ける探求心があってこそ。
有名ブランドのコピー品なども多くなっている中、STONE ISLANDのコピー品が出てこないのは他のブランドが真似できない高い技術があるからこそ。
(ワッペンだけは偽物も出回っているようですが・・・)
そして、時代の流れを見極める能力の高さ。当店でもここまで幅広い年代に愛されているブランドはなかなかありません。
昔からのファンを飽きさせない新たな提案と変わらない品質。そして若い世代にも受け入れられるような話題のブランドとのコラボレーションなどを含めたブランディング。
このあたりのバランス感が非常に長けているように感じます。
2019AWからはブランドの意向もあり実店舗以外では自社サイトのみの展開となっているSTONE ISLAND。
高い知名度はあってもどこでも手に取れるものではないものにしたというのもまたこれまでのファンに対して、そして新たなファンへのブランディングなのかも。
ラグスポを先頭で引っ張るSTONE ISLANDから今後も目が離せません。